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July 22, 2005

爆笑問題のススメ・京極夏彦

 7/20の「爆笑問題のススメ」のゲストは京極夏彦氏。題して「通俗娯楽のススメ」。

「小説って字しかないんですよ。字が並んでるだけじゃないですか。そこから何を読み取るかっていうのは読者ひとりひとりのイメージ」「読み取ったものがその人にとっての真実」
「100万人の意見のすり合わせはできない」「原作と違うのは当たり前」

 映画「姑獲鳥の夏」の話から、原作者として意見を言ったかという質問からの話。自分は小説家だから小説は書けるけど、映画を作るのは映像作家だからとして、何も意見をいわないという態度。そして小説を映画化することで出てくる不満に対する分析。まあでも、このほかに「映像作家側の力不足」「上の方の口出し」なんてのも(笑)

「専門的な知識がなくても受け入れられるものっていうのが通俗」「通俗娯楽っていうのは面白いもの、みんなが面白がれるもの」「通俗娯楽っていうのはプレゼンテーションで決定する。それが一体どんな意味を持つのか、どんなものなのかという本質的なものではなくて、どういう風に一般に向けて発信されているのか。プレゼンテーションのところがいかに重要か。そこさえクリアしていればどんなものでも通俗娯楽たりうるわけですよ。

僕が小説を通俗娯楽として書いているのは、たとえばテーマ性だとか作者の主張とか、そういう重たいもの、それっていくら僕が思ってても受け取る側にはまったく通じないですよ。受け取る側は受け取る側で勝手に自分の中で物語を作り上げて受け取るわけじゃないですか。それはプレゼンテーションにかかってるだけ。

僕はテーマ性みたいなものは要らない。ストーリーだって要らないんじゃないかというところも実は考えていて。

何が大事かって言うと、100万人読者がいるとしたら、100万人が100万通りの受け取り方が書かれなきゃいけない。それこそが僕にとってのいい小説。そうすると、具体的なイメージを思い浮かべながらものを書いちゃダメなんですよ。僕がこうだと思うものを文章にしたらそれは説明。読んだ人が僕が思い浮かべたものを思い浮かべたらイメージが固定してしまう。だから僕はキャラクターにしても情景にしても思い浮かべないように努力して書く。文章の文字の連なりだけを考える。(中略)ストーリーは二の次なんです。それで読んだ人がそこから思い浮かべてくれるそのひとだけの物語ができるほうが、すぐれた小説なんだろうと。

思いの丈なんてものはいくらぶつけたって伝わらない。でもそれを練った文章にして何日も暖めておくと相手に伝わりやすくなる。つまりプレゼンテーションなんですよ。だからきっとテクニックだけなんですよ小説って。

 今回のテーマ、通俗娯楽から自らの小説に対する考え方に。
京極氏は、書き手・伝え手のことよりも受け手の事を考えているのだろう。「何を書くか」よりも「どう書くか」を重要視しているのだろう。そこで私が思い浮かべたのは児童文学のことである。児童文学者の中には、「これを伝えたい」という思いにあふれ、それゆえに押し付けがましくなってたり、何が何だかわからなくなっているものが結構ある。(何がとは言わないけど)また、評価する側も「社会的なことをテーマにしているから素晴らしい」なんて評価をしてしまうことがある。社会的なテーマを扱ったほうがレベルが上の作品としてしまうことがある。(これは児童文学に限らず、ノンフィクションとかミステリとかでも同じなんだけど)

 でも、そんな思いなんか読み手には何の関係もないのである。どんなに思いをこめようが、どんなに崇高なテーマを据えようが、「どう描くか」という視点が欠落した作品はおそらくほとんど駄作になっている。読み手の想像力を喚起し、練りこんだ作品が優れた作品になるというのはある種当然なのだと思う。「プレゼンテーション」なんて言葉を使うから、何か広告代理店のようなアヤシさが思い起こされてしまうかもしれないけど。

 でも、そんな「100通りの受け取り方」を許さないのが読書感想文だよね。

一番難しいのは怖がらせること。怖がらせる要素って言うのは生理的嫌悪とかびっくりさせるとかいろいろあるけど、どれも娯楽に結びつけるのは難しい。それをやったのが怪談。読ませて怖がらせてああ面白かったと思わせるのは難易度が相当高い。だからそれをクリアした作品というのは泣きも笑いもオッケーな人でないと書けない。

最高の通俗娯楽とは何かという話から。この話を聞いて思い出すのは楳図かずお先生ですね。

怪談って、どうしようもない話でも怖く話す人っているんですよ。これもプレゼンテーションの問題で。

また来月、「こわいおはなし会」というのがあって、こわい話のストーリーテリングをしなければならないのですが、本当にどうすりゃ怖がってもらえるのでしょうか。

通俗娯楽が世に氾濫するというのは平和なことですから。

ですよね。小説にしても、マンガにしても、映画にしても、音楽にしても。社会派なテーマがなくとも、「ただ面白い作品」が作られ続ける事を望みます。なんかね、なんとなく危うい風潮になりかけているものですから。

京極先生は来週もゲストです。

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この記事で、ブログをはじめて100個目の記事になります。(まあ、その中には数行のものもありますが)ただ、後から書くことを考えてる記事(東北旅行とか)もあるので、あとから見たら100個にならないと思うけど。良く続いたものです。拙い文章ですが、これからもよろしくお願いします。

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Comments

はじめまして、眩暈堂と申します。
京極夏彦出演の爆笑問題のススメを見てトラックバックさせていただきました。
このページすごくよくまとまっていますね。

関東では「妖怪のススメ」ははなから放送がないらしくへこんでいます。見たいですね。
司書の仕事がんばってください。

はじめまして。コメント・トラックバックありがとうございました。

>関東では「妖怪のススメ」ははなから放送がないらしくへこんでいます。
そうなんですか、するとこちらはまだ恵まれていたのですねえ。「妖怪のススメ」については、見られた分だけでもまた書こうかと考えています。

>司書の仕事がんばってください。
ありがとうございます。そちらも古書店開業にむけてがんばってください。


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