日本将棋連盟は26日、プロ入りの嘆願書を連盟に提出していたアマチュア棋士・瀬川晶司氏に対し、プロ(フリークラス)への編入試験を実施することを決定した。アマチュア棋士のプロへの編入試験実施は、1944年以来51年ぶりとなる。→毎日新聞の記事
瀬川氏はかつてプロ棋士の養成機関である「奨励会」に所属、三段まで昇段したが(プロ将棋棋士は四段から)年齢制限の壁を破れず退会。その後アマチュア棋士となり、そこで大活躍、対プロ17勝7敗という成績を残していた。
しかし現在の規定では奨励会をクリアしない限りプロ棋士にはなれない。そこで瀬川氏はプロ入りを求める嘆願書を連盟に提出した。本日の棋士総会でこの問題について、プロ編入試験を実施するかどうか採択し、賛成129・反対52・白票8で可決した。方式は未定。
まずは、棋士の方々が編入試験を行うという決定をされたことを嬉しく思います。と同時にホッとしました。
ただ、気になる点がふたつ。ひとつは連盟の米長会長が「特例として扱う」としていること。幸い奨励会とは別のプロ入りへの新制度を1年程度かけて検討すると言ってはいますが、ちゃんと制度を作ることを(方法は後からでいいから)明言して欲しかったと思います。瀬川さんは自分だけの問題ではなく、プロへの道を作って欲しいとして今回の嘆願書を出していたわけですから。
もうひとつ、仮にフリークラスに編入された場合、それは順位戦に参加できる権利を持つのかということ。
※フリークラス・順位戦
プロの将棋界では、全棋士をA・B1・B2・C1・C2の5クラスに分け、リーグ戦を行い、成績によって昇級・降級する。最高位のA級でトップになった棋士が名人戦に登場できる。またフリークラスはこの順位戦に参加しない棋士のこと。最下位のC2から降級した人、奨励会三段リーグで次点(3位)を2回とった人、希望して転出した人に分けられる。前2つは一定の成績を収めればC2に参加できるが、最後の「転出者」は、順位戦への復帰はできない。
フリークラス編入とするなら、前者のように「一定の成績をおさめれば順位戦に参加できる」身分にして欲しいと思います。単なるプロ入りではなく、可能性を追求できるようにして欲しいと思うのです。
今回の件に対し、反対意見として「奨励会の気持ちを考えると」というものがあります。何年もかけてコツコツ頑張っているときに横入りするようなものではということかもしれません。ただ私は、プロ入りに複数の道を作ることは、将棋界にとっていいことだと考えます。現在の奨励会員にとっても、仮に挫折したとしても、夢が残されているという意味ではいいのではと思うのです。(未練を残させるなという考えもあるでしょうが)
複数のチャンスが存在すること、それにむけて容易ではないが実現不可能ではないハードルが用意されていること、それはアマチュア棋士、例を挙げれば10代ではさほどではなかったが20~30代で強くなった人とか、奨励会で一度挫折した人とかの、モチベーションをあげることになり、ひいては将棋界を活性化させることになるのではと、私は期待しているのです。そしてこの図式は、将棋界以外にもあてはまるわけですが。
瀬川氏の挑戦を、熱く見守りたいと思います。
※この文章、将棋ファン以外にはわかりにくいかもしれません。興味のある方は・・・ググってみましょう。(笑)
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