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将棋

February 06, 2006

書評ブログのお手本として

 ブログを書いている将棋棋士が何人かいる。最も有名なところでは渡辺明竜王。他にも大平四段神崎七段(正確にはブログではないが)・遠山四段広瀬四段など。

 そんな中、「書評ブログ」という形でブログを書き始めた棋士がいる。高野秀行五段である。

 私はこの人を結構応援している。し始めたきっかけは・・・忘れてしまったが(笑)、四段昇段当時の記事とか(ちょうどその頃に将棋世界とか読み始めたので割と覚えている)NHK杯の記事とかを読んでその人となりに興味を覚えた。「酒飲み」とか、「待ち合わせ中、ある女性が駅で迷っていると聞いて、ルートを頭で予測して迎えに行った」とか、「奨励会時代、記録係とかの手際があまりに良かったので、連盟の職員が昇段するのを惜しんだ(プロになるともう雑用させるわけにいかないかららしい)とか。

 おそらく今は、「瀬川氏プロ試験での最後の対局相手」として一番有名だろう。

 そんな高野五段の、しかも「書評」である。同じ書評ブログを書く身として(笑)注目せざるを得ない。で、読んでみた。

 興味をひく導入、平易な文章、なにより紹介する本にたいする愛情。まさにこれは、書評ブログのお手本ではないだろうか。(当たり前じゃないのと思われる人もいるだろうが、小難しい表現を使ったり、上から見た物言いで批判をすることで自分を高くみせようとする書評がある中、これは貴重なのですよ)

 私もこれから、このブログを見習ってひとつでも多くの魅力ある本を紹介したいと思っている。そして高野五段のブログが長く続くことを願っている。一ファンとして。

November 07, 2005

35歳の夢叶う・・・瀬川氏プロ試験

 色々なニュースで報道されているが、プロ試験を受けている瀬川晶司氏が試験に合格し、晴れてプロ棋士に。→瀬川氏特設ブログより

 「おめでとうございます。これから大変だと思いますが、まずはフリークラスを抜けられるよう頑張ってください。」私個人としてはこの一言に尽きるのだが。しかし対局が進むにつれてマスコミの注目がどんどん上がっていったのは、おそらく「サラリーマンの挑戦」「敗者復活」という物語性があったからではないかと。

 将棋連盟の注目のさせ方も上手かったと思いますね。マッチメイクの仕方といい。おそらく連盟としては将棋人口の復活の一環として考えてたと思いますが。それであってもこういう機会が与えられたことは良かったと思うわけで。あとはこのような形での途中参加をきちんと制度化することを望むだけ。

 ただ、反感を持つ人もいるわけで、たとえば渡辺明竜王のブログでは御説をとうとうと演説している人が何人もいまして、まあ別にどこで何を言おうと構わないのですが、ああいう人たちの演説口調は聞いててなんか苦痛ですね。おそらくこういう人たちは他人の言葉などハナから聞こうともせず、あるいはバカにして自分の説のみを延々と言い放ち、そうすることで気持ちよくなっちゃってるんだろうねえ。まあそんなことはどうでもよく。

 瀬川氏のこれからの健闘を期待します。

June 16, 2005

瀬川アマ・プロ試験

 以前このブログで書いた将棋の瀬川アマのプロ試験ですが、日本将棋連盟のサイトで詳細が発表されました。

 6番勝負。瀬川アマは3勝すればプロ・フリークラス四段を認められる。瀬川アマが3勝した時点、もしくは4敗した時点で終了となる。対局は7月から月1ペースで行われる。

 「試験官」役となる対局者は以下の通り。
 1 佐藤天彦三段(奨励会)
 2 神吉宏充六段(フリークラス)
 3 久保利明八段(順位戦A級)
 4 中井広恵女流六段(女流棋士)
 5 中原誠永世十段(連盟副会長)
 6 米長邦雄永世棋聖(連盟会長)

 中原副会長と米長会長はそれぞれ、弟子の熊坂四段・長岡四段を代打に立て、ふたりは対局立会いと同時に面接をして人柄・品性を見極めるそうです。(ただ、「2人の直接対局もある」という書き方がよくわからないのですが)
 また、中井女流六段は自身男性プロに相当数勝っていることから、対局の内容によっては来年の総会で計られる「プロ編入のための委員会(仮称)」で討議が考えられるそうです。


 個人的感想としては「いい感じ」におさまったかなという気はします。いままでの対プロ戦の実績を考えれば充分実現可能ではと思います。プロの側も、奨励会の意地をかけてくる佐藤三段、以前の負けのリベンジを考える久保八段、自身のプロ棋士編入もかかる中井女流六段など、モチベーションを高めてくることが予想されます。

 道を切り開くという意味でも、瀬川氏の3勝を期待しております。

June 11, 2005

いったいどうしたのだろう

 名人戦が佳境を迎え、順位戦もいよいよというこの時期とは何の関係もなく、しかし「Yahoo!Japan」のトップページのトピックスにまで載ってしまったこんな事件。時事通信より。

「待った」で加藤九段を処分=出場停止など-日本将棋連盟

 日本将棋連盟は10日、加藤一二三九段が第13期銀河戦で「待った」の反則をしたとして、来期の同棋戦への出場停止と罰金の処分を決めたことを明らかにした。同反則による処分は極めて異例という。
 処分対象となったのは、5月下旬に「囲碁・将棋チャンネル」で放送された阿部隆八段との対局。終盤で桂馬を「成らず」と指した直後、「成り」に変更した。対局は加藤九段が勝ったが、視聴者から抗議があり、連盟がビデオで確認、処分を決めた。 
(時事通信) - 6月10日23時1分更新

 囲碁・将棋チャンネル(スカパーのコンテンツ)は加入してないので、どんな風なのかはわからないのですが、一体何がどうしたというのでしょうか。軽い気持ちだったのか。まあ、天才的なエピソードには事欠かない加藤九段ですので・・・ひょっとしたら対局とかテレビ中継とかいうことを忘れていたとか?まさかねえ・・・。

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 あ、一応書いておきますが、当ブログはあくまで書評サイトです。ニュースサイトではありません。本当に。
 
 夜が明けたら東京行き。QuizRoadCup。過去最高の参加者だって・・・。早押し席につきたいなあ、と。

May 26, 2005

チャンス・・・瀬川アマの問題に思う

 日本将棋連盟は26日、プロ入りの嘆願書を連盟に提出していたアマチュア棋士・瀬川晶司氏に対し、プロ(フリークラス)への編入試験を実施することを決定した。アマチュア棋士のプロへの編入試験実施は、1944年以来51年ぶりとなる。→毎日新聞の記事
 
 瀬川氏はかつてプロ棋士の養成機関である「奨励会」に所属、三段まで昇段したが(プロ将棋棋士は四段から)年齢制限の壁を破れず退会。その後アマチュア棋士となり、そこで大活躍、対プロ17勝7敗という成績を残していた。

 しかし現在の規定では奨励会をクリアしない限りプロ棋士にはなれない。そこで瀬川氏はプロ入りを求める嘆願書を連盟に提出した。本日の棋士総会でこの問題について、プロ編入試験を実施するかどうか採択し、賛成129・反対52・白票8で可決した。方式は未定。

 まずは、棋士の方々が編入試験を行うという決定をされたことを嬉しく思います。と同時にホッとしました。

 ただ、気になる点がふたつ。ひとつは連盟の米長会長が「特例として扱う」としていること。幸い奨励会とは別のプロ入りへの新制度を1年程度かけて検討すると言ってはいますが、ちゃんと制度を作ることを(方法は後からでいいから)明言して欲しかったと思います。瀬川さんは自分だけの問題ではなく、プロへの道を作って欲しいとして今回の嘆願書を出していたわけですから。

 もうひとつ、仮にフリークラスに編入された場合、それは順位戦に参加できる権利を持つのかということ。

※フリークラス・順位戦
 プロの将棋界では、全棋士をA・B1・B2・C1・C2の5クラスに分け、リーグ戦を行い、成績によって昇級・降級する。最高位のA級でトップになった棋士が名人戦に登場できる。またフリークラスはこの順位戦に参加しない棋士のこと。最下位のC2から降級した人、奨励会三段リーグで次点(3位)を2回とった人、希望して転出した人に分けられる。前2つは一定の成績を収めればC2に参加できるが、最後の「転出者」は、順位戦への復帰はできない。

 フリークラス編入とするなら、前者のように「一定の成績をおさめれば順位戦に参加できる」身分にして欲しいと思います。単なるプロ入りではなく、可能性を追求できるようにして欲しいと思うのです。

 今回の件に対し、反対意見として「奨励会の気持ちを考えると」というものがあります。何年もかけてコツコツ頑張っているときに横入りするようなものではということかもしれません。ただ私は、プロ入りに複数の道を作ることは、将棋界にとっていいことだと考えます。現在の奨励会員にとっても、仮に挫折したとしても、夢が残されているという意味ではいいのではと思うのです。(未練を残させるなという考えもあるでしょうが)

 複数のチャンスが存在すること、それにむけて容易ではないが実現不可能ではないハードルが用意されていること、それはアマチュア棋士、例を挙げれば10代ではさほどではなかったが20~30代で強くなった人とか、奨励会で一度挫折した人とかの、モチベーションをあげることになり、ひいては将棋界を活性化させることになるのではと、私は期待しているのです。そしてこの図式は、将棋界以外にもあてはまるわけですが。

 瀬川氏の挑戦を、熱く見守りたいと思います。

※この文章、将棋ファン以外にはわかりにくいかもしれません。興味のある方は・・・ググってみましょう。(笑)
 

May 10, 2005

NHK教育「トップランナー」に渡辺竜王が出演

 8日のNHK教育「トップランナー」に、将棋棋士の渡辺明竜王が出演しました。渡辺竜王は、21歳とは思えない風格でした。テレビ出演も慣れているようで、堂々としていました。

 司会の二人(山本太郎・本上まなみ)は将棋のことをあまり知らないようなのですが、知らないなりに真摯に聞こうとしている姿勢はわりといい感じでした。(いますからねえ、悪い意味で開き直るやつとか)

 ただ、タイトルの話をしている時に、「竜王を取ることは小さい頃からの夢でしたか」とか、竜王を唯一無二のシンボルというようにとらえていたのは少々気になりました。(おそらく名人と並ぶ二大タイトルとかいうようにレクチャされたと思うのだが)棋士の夢や目標として「タイトルを取る」や「名人を取る」ならあると思うけど、「竜王を取る」ことが小さい頃からの目標なんて人はあまりいないと思うんですけどね。いくら獲得賞金総額トップ・名人と同格扱いのタイトルとはいえ。

 渡辺竜王の対局風景とかを見ていると、雰囲気で威圧するようないわゆる勝負師タイプ(大山・升田タイプ)ではなく、理知的なタイプだなあと感じます。10年前の羽生世代のような。ただ現在の羽生世代(羽生四冠や佐藤棋聖、森内名人など)は、その頃に比べて勝負師的なオーラを放つようになってきたのではと感じます。こういうオーラは年齢や経験にともなって身についてくるものなのでしょうか。もしかしたら渡辺竜王も10年後には、次世代を相手にするときにはそういうオーラを発しているのでしょうか。

 あと、渡辺竜王には「将棋の楽しさ・難しさ・厳しさなどの様々な魅力」を、きちんと言葉にして、あまり将棋を知らない人にも伝えていけるような気がします。今の将棋界でそれができるのは島八段や先崎八段くらいではないでしょうか。

 渡辺竜王や彼の同世代(山崎六段・阿久津五段・宮田五段など)には、将棋界を盛り上げるためにも、もっと活躍してタイトルを争って欲しいものです。